一文一投

思ったことを、だれかにひょいっと投げるきもちで

冬の朝

ふるると震えて起きると
外は雪だった
しばらくぼぉっと考えて
恋人にぴったりと寄り添う
生きている人間は
暖かい
例え眠っていても
ずっと眠ったままに見えても

そうしてしばらくして
ちっとも恋人の腕が
私の腰に絡んでこないのを考えて
ふと寂しくなって
世界からすべて取り残されたみたいに悲しくなって
ぴったりと寄り添うのをやめて
天井を見る
知らない場所みたい
白い天井、白い蛍光灯

やがてこうやって
2人重なって朽ちて行くイメージを持つと
なぜか少しだけ元気が出た

生きているものは死んで
生きているものは死んで朽ちて
細かく分解されて
粒子になって
風に漂ってみたり
土と混ざり合ってみたり
戯れて戯れて

そしてまたあなたのところに還れたらいい
そんな風に思う
雪の朝だった