一文一投

思ったことを、だれかにひょいっと投げるきもちで

カガミ

土曜日の帰り道。


大声で座席を占領している、うら若きお嬢さんたちに出会う。

見ればけっこう可愛い。まさに「恋するお年頃」といったところ。

ふと窓に映った自分を見る。

髪はボサボサ、化粧もはげてる。靴底はすり減ってるし、そういやコートの毛玉なんて、最後にいつ取ったのやら。

ため息が出そうになって、ふと笑った。お嬢さんたち、今が花だよ。若さも、若さに伴う美しさも、今を逃せば一生手に入んないよ。

なーんて、31歳が言うことじゃないか。しかしまあ、終電間近の31歳、窓に映った私はしっかり「オバサン」だ。


帰ったら湯船に浸かって、しっかりお肌の手入れをしよう。新しい靴を買って、コートの毛玉を取ろう。

「大声で話すお嬢さん、お里が知れてよ」

そう注意しても、一歩も引かない、うるさいよオバサンなんて言わせない。

そういう女性に、私はなりたい。