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一文一投

思ったことを、だれかにひょいっと投げるきもちで

月が鳴る日

月が鳴る日は
ちろちろと、月が鳴る日は
鈴を一つずつ、紐に垂らして
夜のとばりにしばりつけて
そこにさらりと冷たい風がしのびこんで
ちろちろと
そんなふうに月が鳴る日は
赤い眼をした狼が
静かに空に吠えている

暗い暗い夜の果てで
静かに凍っている月は
少しずつ、少しずつ爆発を繰り返して
月であることに
何故月であるかに
爆発を繰り返して
そしてまた、繰り返す輪廻の向こうへとたどり着いていく

月が鳴る日は
くくりつけた鈴たちがざわめくカーテンのようにちろちろと鳴る、そんな月が鳴る日は
私は布団にくるまって
手のひらで眼を覆い
血の流れ、脈拍の音、ぐるぐると回る夢喰い梟の模様
薄い薄いまぶたの奥に、そんな眠りを捉えて
そしてまたあの、
輪廻の向こうへと。
旅するために、夢を見ている。